不育症の治療法として最も一般的に使用させれいるのが「低量アスピリン」です。その効果、副作用、保険適応の有無、費用、摂取開始時期、摂取終了時期について解説します。
スポンサーリンク
低量アスピリンは、どんな時に処方されるの?
主に不育症の治療に、ヘパリン注射と併用して多く用いられます。併用した場合は、特に不育症治療の効果が高いとされています。
過去に流産や死産経験がある場合、体外受精で着床しても妊娠が継続できない場合が続く場合、不育症の傾向が疑われます。その場合も、体外受精の移植後に低量アスピリン(バイアスピリン)を処方されることがあります。
低量アスピリンに、保険は適応されるの?
抗リン脂質抗体症候群と診断された場合、アスピリン治療は保険が適用されます。
不育症の理由が抗リン脂質抗体症候群と診断されない限り、治療に保険は適用されません。
不育症の原因が本当に抗リン脂質抗体症候群なのかがわからないままアスピリンとヘパリンを処方する医療施設が存在し、問題となっています。これは、過剰治療になり、効果のない薬を自費で使い続けることで、金銭的にも大きな負担なってしまいます。
不育症の原因が抗リン脂質抗体症候群でない場合、アスピリンとヘパリンを使用しても有効性はありません。使用開始の前には、必ず不育症検査をしっかり行ってから、医師の指導に従うようにしてください。
低用量アスピリンの値段
低用量アスピリンとして一般的に流通しているのがアスピリンのジェネリック品である「バイアスピリン」と、同じくアスピリン成分が低量含有されている「バファリン81」です。
どちらも1錠あたり5.6円です。不育症治療の場合、1日1錠の摂取を指導されます。
ジェネリック品もありますが、値段が同額なので、敢えてジェネリック品を選ぶメリットは感じられないでしょう。
低量アスピリンの不妊症・不育症への効果は?
アスピリンは古くから解熱鎮痛剤として汎用されてますが、アスピリンの大人の常用量は1000~4500mg/日とされています。このアスピリンを少量(40~100mg/日)服用すると、抗凝固作用があることがわかってきました。
不育症の原因は様々ですが、原因の1つとして良く見られるケースは、母体に抗リン脂質抗体がある場合や血液凝固に異常があるケースです。
これらの異常があると、妊娠しても、赤ちゃんに十分な栄養素が届かずに、赤ちゃんの成長が止まってしまい、流産や死産に至ってしまうことがあります。
母体に抗リン脂質抗体があったり、血液凝固異常があると、胎盤内に血栓ができてしまうことがあり、血液循環が悪くなってしまいます。
お腹の中の赤ちゃんは、血液により運ばれてくる栄養分や酸素で成長するため、血栓によって栄養分や酸素を上手く赤ちゃんに届けられないと、やがて流産や死産といった結果につながってしまうことがあるのです。
そのため、抗リン脂質抗体や血液凝固異常によって不育症が疑われる場合には「バイアスピリン」や「バファリン」が処方されることがよくあります。
低量アスピリンの副作用
通常の解熱鎮痛の際にアスピリンを服用する場合と異なり、少量のアスピリンでの服用の場合は、副作用が出にくい薬です。
しかし、副作用が全くないというわけではなく、主な副作用として、消化管障害、蕁麻疹、発疹、浮腫、めまい、頭痛、興奮、過呼吸、倦怠感、貧血などが報告されています。
また、胃痛や腹痛、食欲不振や吐き気などといった胃腸障害やかゆみや発疹、ぜんそくに似た症状が現れることがあります。
バイアスピリンは、胃腸障害が出にくいように腸で溶ける薬ですが、もともと胃潰瘍を患っている場合や、胃腸が弱い方などは注意が必要です。
また、以前に薬を使用して、かゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある。十二指腸潰瘍、出血傾向・血液に異常がある、喘息またはその既往、手術や抜歯を予定している場合は、必ず医師に相談してください。
また、他の抗血栓薬と併用すると効果が出過ぎる場合もあるため、二重で薬が処方されないよう、現在摂取している薬を、医師に忘れることなく報告してください。
いづれのケースでも、万が一、副作用を感じた場合は、早めに医師に相談してください。
低量アスピリンの摂取を開始する時期
排卵日、基礎体温の高温期中期、妊娠確定時など、医師の診断や方針によって若干の差異があります。
妊娠確定時
私の場合は、自宅での妊娠検査薬で陽性が出た後、クリニックでエコーと血液検査。エコーでは、時期早々で胎嚢が確認できませんでしたが、血液検査の値より妊娠確定したので、その日から、医師の指導に従い、バイアスピリン摂取を始めました。
基礎体温の高温期中期
不妊治療や不育症治療を行っている病院やクリニックの方針によっては、基礎体温の高温期中期から摂取を開始する場合もあるようです。不妊症や不育症の治療で有名な杉ウィメンズクリニックの場合は、基礎体温の高温期中期から摂取が基本のようです。
排卵日
私と同じく3回の流産を繰り返している不育症の友人のケースでは、排卵日ぐらいからバイアスピリンの摂取を始めたそうです。
私も、妊娠確定前からの摂取を担当医と相談しましたが、妊娠しやすい人の場合は、妊娠確定前から摂取をすることがあるけれど、そうでない場合は妊娠確定から摂取を指導しているとのことでした。
バイアスピリンの摂取開始時期は、医師の指導に従う必要がありますので、主治医と相談してください。
低量スピリンは、いつまで摂取する?
妊娠28~36週まで服用するというケースが一般的とされています。実際には、多くのクリニックや病院では、バイアスピリン使用を36週前ぐらいまで継続するように指導しているようです。
不育症である私は、医師より妊娠36週までのバイアスピリン摂取を指導されました。
現在の妊娠状態や、過去の流産や死産経験なども考慮されるので、使用の停止は、医師の指導に従うようにしてください。
バイアスピリンには血流を良くする効果があるので、飲み続けたまま出産を迎えてしまうと、出産時に大量に血液が出過ぎてしまったり、血液が止まりにくくなるという問題があります。その為、臨月に入る手前で使用を停止するようにされています。
早産の疑いがある場合などは、早めにバイアスピリン使用停止を医師から指導されることがあります。
まとめ
不育症には有効とされている定量アスピリンですが、勝手な判断をせずに、しっかりと医師の指導を仰ぐようにしましょう。
私は現在4回目の妊娠ですが、流産可能性があります。確定ではありませんが、それまでは低量アスピリンとヘパリン注射を続けています。
効果: 抗凝固作用により、血液循環を良くし、胎盤内に血栓ができるのを防ぐ
副作用:基本的に少ないが、消化管障害、蕁麻疹、発疹、浮腫、めまい、頭痛、興奮、過呼吸、倦怠感、貧血などが報告されている。
摂取時期:高温期中期〜妊娠確定時期(医師の方針により異なる)
保険適応: 抗リン脂質抗体症候群と診断された場合のみ保険が適用
費用:一錠5.6円
コメント