肛門周囲膿瘍(お尻の近くにおでき)息子の治療方法と経過(現在3歳)

肛門周囲膿瘍 乳幼児 赤ちゃん 体験談

 

赤ちゃんのお尻に、おできを見つけけて、心配されていませんか?

私も、そうでした。

周りが赤く、膿が入ったおできは、痛そうに見えますよね。

あなたが見つけたおでき(腫瘍)は、「肛門周囲膿瘍」です。

 

私には3歳になった息子がいますが、生後3ヶ月頃、オムツを変えようとしたところ、お尻の穴近くに、吹き出物ができているのを見つけました。

これは「肛門周囲膿瘍」と呼ばれる痔の1つで、肛門管内の小さな穴から、細菌が入り込み肛門の周りに炎症が強く起きて膿んだ状態です。

痔というと大人のイメージが強く、大人でも見られる病気の1つですが、実は赤ちゃんや子供にも起こり得る病気なのです。

 

「肛門周囲膿瘍」の一般的な治療方法、そして、私の息子が実際に行った「肛門周囲膿瘍」治療と、現在の経過の実体験をお話します

肛門周囲膿瘍とは

ポイント

☑️肛門近くの穴から皮膚内に細菌が侵入することで感染し、腫瘍を作る病気

☑️生後1ヶ月前後から1歳ぐらいの乳児期の赤ちゃんに、比較的見られる病気

☑️1歳までは再発を繰り返すことが多く

☑️女の子よりは、男の子の方が、発病しやすい

 

先述に簡単に説明したように、「肛門周囲膿瘍」は、肛門近くの穴から皮膚内に細菌が侵入することで感染します。

そして、肛門の周りの皮下に膿のたまり(腫瘍)を作ります。

 

私の息子は痛みがなかったのですが、人によっては発熱や、ズキズキとした痛みを伴うことがあるようです。

また、下痢を伴うこともあります。

 

大人にも見られる病気ですが、生後1ヶ月前後から1歳ぐらいの乳児期の赤ちゃんに、比較的見られる病気で、決して珍しいものではありません。

乳児期の「肛門周囲膿瘍」は、皮膚から膿が出てくるようになると「乳幼児痔瘻」と呼ばれます

女の子よりは、男の子の方が、発病しやすいとも言われています。また、1歳までは再発を繰り返すことが多くなっています。

 

原因は、乳児期の不完全な免疫が関係していると言われています。

 

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肛門周囲膿瘍の見た目

こちらは、特定非営利活動法人 日本小児外科学会からお借りしたお写真です。

肛門周囲膿瘍 見た目 写真

 

私の息子も、発病の時は、右の写真に近い見た目でした。

最初は赤い発疹だったのが、そのうち、写真のように海が溜まるようになってしまいました。

酷いケースの場合は、小さなビー玉のように、大きな腫瘍ができてしまうこともあるようです。

 

肛門周囲膿瘍の治療方法

大きく分けて、5つの治療法があります。

  1. 自然治癒を待つ
  2. 腫瘍に穴を開けて、膿出しする
  3. 切開手術(酷いケース)
  4. 漢方薬処方
  5. 抗生物質処方

 

大人の場合は、切開手術が基本です。

赤ちゃんや子供の場合、膿がひどい場合は、皮膚に少し穴を開けて溜まっている膿を外に出し、治します。

1歳までは再発を繰り返すことが多いので、根気よく治療を続けることが大事となります。

 

多くの場合、1歳をすぎると自然に治り、再発しなくなります

1歳を過ぎても再発を繰り返す場合は、瘻孔切除などの手術が必要になることがあります

 

ポイント

☑️大人の場合は、切開手術が基本

☑️乳幼児の場合は、自然治癒を待つ

☑️ 医師の方針によっては、漢方薬が処方されることがある

☑️膿がひどい時は、皮膚に少し穴を開けて溜まっている膿を外に出し治療

☑️1歳までは再発を繰り返すことが多く

☑️1歳を過ぎても再発を繰り返す場合は、瘻孔切除などの手術が必要になることがある

 

漢方を用いた治療

医師の治療方針によっては、漢方薬が処方されることがあります。息子の場合は、そのケースです。

以下、一般的に処方される漢方薬を説明します。

十全大補湯

肛門周囲膿瘍 十全大補湯

 

「肛門周囲膿瘍」には、「十全大補湯」という漢方が有効と言われています。

「十全大補湯」の効能は、以下の通りです。

この漢方薬を一言で説明すると「体力低下を防ぎ、活力をつけてくれる」漢方です。

体が疲れていたり、免疫が弱っている状態だと、新たな病気を発病しやすいですよね。体を衰弱から守り、体を元気な状態に保つ手伝いをする漢方です。

 

全身が弱って、漢方でいう「気」も「血(けつ)」も著しく不足している人に向く漢方薬です。不足を補う「補剤」の代表的なひとつです。

疲労倦怠感、貧血、皮膚の乾燥、食欲不振、寝汗、手足の冷えなどの不調があるときに処方されます。病後・手術後の体力低下をはじめ、産後の衰弱、貧血、冷え症の改善など、さまざまな目的で使われています。

ツムラHP解説より

 

 

排膿散及湯

乳幼児痔瘻 排膿散及湯

 

一般的に、肛門周囲膿瘍には、上記の「十全大補湯」と言われていますが、私の息子は「排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)」という漢方も処方されていました。

「排膿散及湯」の効能は、以下の通りです。

効用を一言で言うと「膿予防」の漢方薬です。

 

患部に発赤、腫れ、痛みをともなった化膿性の皮膚疾患(軽症または初期)に用います。歯肉炎や桃炎にも使われます。

ツムラHP解説より

 

下記のツムラHPからの説明からも、こちらは、膿対策に効果がある漢方薬です。

ネットで調べていると、上記の「十全大補湯」と共に、「排膿散及湯」は子供の中耳炎などに処方する病院もあるようです。

「排膿散及湯」は、特に、膿が酷い場合などに処方されるようで、「十全大補湯」が最初のステップのようです。

漢方の処方については、医師によって考え方などが違うので、必ずしも肛門周囲膿瘍の治療で処方される訳ではありません。漢方での治療に興味がある方は、医師に質問してみてください。

 

「十全大補湯」のみ処方されることもあるようですが、私の息子の場合は、上記2つの漢方薬が処方されました。

「十全大補湯」で生気を養い、「排膿散及湯」で膿治療する。そのような効果が期待できる漢方だったようです。

乳幼児用には、小分けで摂取量を調整

私の息子の主治療は、漢方薬です。

最初の医師との診断の際に、漢方薬で散らすけれど、ひどくなった場合は手術の可能性もありと告げられました。

 

ツムラの漢方薬は2.5g入りであり、乳児だったので、薬局内で、この薬をバラして、私の子供にあった処方量に小分けしたものを頂いていました。

1回1gを、1日3回、ごく少量のお湯で溶かして、小さなスプーンで与えていました。甘めだったので、嫌がらずに飲んでくれたことが救いです。

この漢方薬を予防薬として、1年間飲み続けていたのですが、再発の様子もなかったので、最後の数ヶ月は摂取量を1gから0.5gへと、少量に変更されました。

そして、発病から1年経過した時点で、漢方薬卒業となりました。その時点で1歳2ヶ月ですので、再発しやすいと言われている1歳を過ぎた頃です。

 

途中、小さな腫瘍が再発することがありましたが、漢方薬の効果か、自然治癒しました。結局、一度も手術や、皮膚に穴を開けることはありませんでした。

 

診察頻度は、2ヶ月に1回通院し、お尻の状態を確認し、新しい漢方薬を処方してもらっていました。

診察時間は、ほんの5分程度です。

しかし、後で説明しますが、この病院はとにかく待ち時間が長く、5分の診察のために、2時間待ちは平均。時に3時間。また、薬をもらう待ち時間も、長くて、通院が大変でした、、、。

 

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抗生物質の処方

抗生物質を処方されることもあるようですが、これも、病院の方針によるところが多いようです。

私の息子の場合は、一度も処方されたことはありません。

膿がたまり始める前の早い段階では有効なこともあるそうですが、既に膿が溜まっている状態の場合は、抗生物質は効果をあげません

さらに、下痢が悪化する副作用がある可能性がありますので、医師によって慎重に判断されます。

肛門周囲膿瘍のケア方法

自宅では、排便後のお尻の洗浄、消毒をしっかり行うことが基本となります。

 

また、自宅でオムツ替えの度に「つまんで押して」の圧迫療法を繰り返すと、徐々に治っていきます

 

私のケースで言うと、この圧迫療法について、医師から指導されたことは一度もありません。実際に、再発して膿が溜まっても、自然治癒を待っていました。

肛門周囲膿瘍は、再発しやすい

膿瘍は、良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多く,肛門周囲の他の部位にも広がることもあります

漢方薬を飲んでいた1年の間、一度、小さく再発することがありましたが、先生に見せる暇もなく、知らぬうちに膿が消えていました。

再発したからといって、急いで先生に見てもらう必要はないようです。

自然に治る場合が多いようなのですが、再発した膿があまりにも酷かったり、痛がっている場合は、すぐに医師の診察を受けた方が良いでしょう

 

2歳半で肛門周囲膿瘍、再発!(お尻に指!?)

漢方をやめて1年半ほど経過した頃、2歳半で、久しぶりに再発してしまいました。

再発を繰り返しやすいという1歳も超え、油断していたので、再発した腫瘍をみた時には、苦々しい思いです。

再発は、いつも同じ箇所です。

 

2歳半での再発の際には、日本ではなくスペインに引っ越していたので、スペインでの検診となりました。

スペインでの検診は、女医さんが、息子のお尻の穴に指(!?)を入れて、内側に腫瘍がないか確認する診察がありました。

もちろん、息子は大泣き。

日本ではされたことのない検診内容に、私もびっくり。見ている私も、とても辛かったです。見るからに、痛そう、、、。

 

幸い、お尻の内側には腫瘍がなく、とりあえず経過観察ということに。2ヶ月後に、経過確認のための再診があったのですが、その頃には、自然に膿が引き、おできがなくなっていました

日本なら、また漢方での予防治療となるでしょうが、スペインでは漢方がないのが残念です。次回、帰国した時には、再発した時の予防用に、漢方を処方してもらおうと思っています。

 

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膿瘍位置に、跡が残る

何度か再発はしましたが、赤く腫れすぎることもなく、現在、3歳2ヶ月です。

膿が引いた後の箇所ですが、少しくぼんでいます。おそらく、この窪みは、時間をおいて治るタイプではなく、傷跡として、一生涯、治らなそうな見た目です。

実際に、最初におできができてから、3年が経ちますが、窪みに改善は見られません。

 

うんちをした後など、窪みにうんちが溜まりやすいので、しっかり綺麗にしてあげてください。お尻を清潔に保つことは、再発予防策にもなるので。

診察するのに困ったこと

「肛門周囲膿瘍」を発病して、最大に困ったことは、診察してくれる病院がすぐに見つからなかったことです。

私の息子と同じように、ごく小さい乳児期に「肛門周囲膿瘍」を発病した場合、病院探しに困る可能性があるかもしれません

 

息子が発病したのは、生後2ヶ月。

この頃は、まだ、普通の小児科や皮膚科では、この月齢の赤ちゃんの診察を受け付けてくれません。

私は、近くの小児科や皮膚科に予約しようと連絡したのですが、「診察するには、小さすぎる」という理由で、軒並み、断られてしまいました

 

電話をかけた小児科の1つに「産院に相談してみては」と言われ、息子を出産した大学病院に電話をしました。

しかし「大学病院で診察するのは、重症のケースのみ」と、またしても断られてしまいました

 

確かに、軽い「肛門周囲膿瘍」は、生死を争うような病気ではありませんし、息子は痛みや、発熱はありませんでした。(注:重症の場合は、痛みや発熱することもあります)

それでも、どこかの病院に診察してもらう必要は、絶対にありました

 

一度は大学病院に断られましたが、そこを粘り、すでに多数の病院に電話して断られ続けていること、そして息子が生まれた産院であることを説明し、やっと大学病院の小児科を予約することができました。

まさか、こんなに病院予約が大変だとは、思ってもいませんでした。

 

「肛門周囲膿瘍」治療は、小児外科

そして電話した当日に迎えた、大学病院での診察日。

女医さんに、お尻の腫瘍を診察してもらいましたが、この腫瘍は、小児科の範囲ではなく「小児外科」の診察範囲ということに。

同じ大学病院内には「小児外科」はないので、近くの大学病院を紹介状と共に、案内されました。

 

幸い、徒歩5分ほどの病院でしたので、産院である大学病院での診察を終えた足で、小児外科がある大学病院に向かいます。

「小児外科」は少ないのか、診察室は患者さんでごった返しています。結局、予約なしの飛び込みということもあり、診察順番は後回し。診察してもらうまで、3時間ぐらい待ちました。

 

ちなみに、その後も、この病院に1年間通院しますが、予約時間があっても、ないようなもので、毎回、本当に待たされる病院でした。

その上、同じ病院内で薬を処方するので、家近くの薬局で薬処方をしてもらう訳にもいかずに、同病院の薬待ちで1時間ということも、多かったです。

 

今、思い出しても、とにかく待ちまくった思い出ばかり。ちなみに、東京文京区にある順天堂大学病院の小児外科です。

医師自体は、好感度高かったのですが、順天堂大学病院の小児外科は、本当に待たされますので、他に選べる選択肢があれば、他の病院をお勧めします

 

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最後に言いたいこと

この記事を読んでいる方の多くは、すでにお子さんのお尻近くに腫瘍を発見された方だと思います。

緊急性はないものの、やはり気になりますよね。

 

自然治癒もするようですが、痛みを伴ったり、重症になることもあるので、やはり、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。

また、1歳までは再発しやすいようなので、私の息子のように、漢方薬を予防治療として処方してもらうと、安心度が増すでしょう。

 

赤ちゃんがあまりにも小さい場合など、私のケースのように、診察を断られる可能性があります。その場合は、せめて、小児外科がある病院に紹介状を書いてもらえないか、依頼してみてください

小児外科がある病院に、直接予約することも可能なようですが、小児外科がある病院のほとんどが大学病院です。

紹介状がない場合でも、診てもらえるようですが、直接、確認してみてください。

 

そして基本ではありますが、お尻周りを清潔に保つことを、特に注意してください。

拭き残しはありませんか?おしっこだけのオムツ替えでも、少しお尻周りを拭いてくださいね。

 

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