私がスペインに引っ越した時、夫と息子の他、もう1人の家族が一緒でした。ロングコートチワワのポンチョです。
ポンチョは、結婚して1年後、息子が産まれる前に家族メンバーとなりました。動物愛護団体から引き取ったので、引き取った時点で、推定7歳でした。
残念ながら、スペインに引っ越して8ヶ月後、弱い心臓が原因で永眠しました。私達がポンチョと一緒に過ごせたのは、わずか3年です。
これから、犬を飼いたいと考えている方にお願いです。
ペットショップからの購入だけではなく、ぜひ一度、動物愛護団体から犬を引き取ることも検討に入れて頂けないでしょうか?
私達夫婦が、あえて動物愛護団体から引き取ることにした理由、ペット売買ビジネスの背景にある悪徳ブリーダー、パピーミル(子犬繁殖工場)についてお話ししたいと思います。
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動物愛護団体からの引き取りを決めていた理由
スペインで犬を飼っていた夫の希望もあり、私達は犬を飼うことにしました。
結婚後、初めての新居となったマンションも、犬を飼うことを念頭に、最初からペット可の物件を契約していました。
ペットショップを見ると、元気にコロコロ動き回る、愛らしい子犬達に惹かれます。
子犬の無邪気な姿は、本当に可愛らしく、その子犬を家族と迎え、愛し、愛されることを想像するとウキウキした気持ちにもなります。
しかし、その一方で、里親探しサイトなどを見ると、本当に多くのワンちゃん達が、新しい家を必要としています。
私達は、夫婦一致の考えで、最初から犬は愛護団体から引き取ろうと決めていました。
愛護団体から引き取りたい第一の理由は「家を必要とする多くの犬が存在している」ことです。
そして第二の理由は、飼い主に捨てられたり、ブリーダーに廃棄されたり、そのように家を必要とする状況に追い込まれる「ペット売買ビジネスに対する反発」です。
私は、ペットショップから高額で犬を購入することが、歪んだペット売買ビジネスに加担することにもつながり、家を必要とする悲しい犬達が増えることにつながると思っています。
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悪徳ブリーダーが増える背景
飼い主の勝手な事情と無責任さで捨てられるケース。
子犬繁殖業者が廃業したり、繁殖能力のなくなった犬を処分するケース。飼い主だった老人がなくなり、家をなくしたケースなど、様々です。
この悲しい現実は、日本の異常なペットビジネスが原因となっています。
近年のペットブームで犬や猫は高額で売買されるようになりました。
ペット売買が盛り上がるほど、供給しようとするブリーダー数や、供給される犬が増えていきます。
全てが健全なブリーダーなら良いのですが、ペットビジネスが盛り上がるほど、営利だけを目的とした悪徳ブリーダーが増えていきます。
パピーミル(子犬工場)
営利を目的として犬や猫などの愛玩動物を、費用を抑えて大量に繁殖させている悪質なブリーダーは「パピーミル Puppy mill(子犬工場)」と呼ばれています。
本来のブリーダーの役割は、決闘を残すことを目的とし、営利を目的としない愛好家によって営まれていました。
繁殖をさせますが、同時に犬を家族の一員としてのペットとして扱っています。
一方、パピーミルのブリーダーは、個体の健康を無視し、生産性のみを追求するビジネスです。そこには、動物へのヒューマニティへの配慮は完全に欠け、動物達は、材料や生産工場としてしか扱われません。
これらの悪徳ブリーダーによる犬の飼育は、犬へのヒューマニティ(ドッグマニティ?)を無視した、劣悪な環境での動物虐待です。
パピーミル、犬の行く末
パピーミルでの生育環境は劣悪で、不衛生で、最低限の餌しか与えられることなく、汚れて狭いケージの中、糞やダニにまみれで生きているケースが多くなっています。
病気になっても、もちろん治療を受けることはありませんし、不衛生な環境の中では、元来、健康であるはずの犬も病気になってしまいます。
生まれた子犬達は選別される
パピーミルで生まれた子犬達は、売りものになる犬はペットショップへ。
生まれながら病気がある犬や美形でない犬など、売りものにならない犬は繁殖用の親犬にするか、廃棄されてしまいます。
廃棄。
つまり、違法に捨てられたり、廃棄業者「引き取りや」によって殺されたり、劣悪の環境に追い込み、「死」のを待つのです。
繁殖用の犬達が役目を終えると
繁殖用として残されている親犬も、年をとり、役目を終えると、売りものにならずに廃棄された子犬達のように廃棄されてしまいます。
悪徳業者にとって、餌代と場所を取る老犬は、邪魔なのです。
劣悪な環境で、ごく小さなうちから繁殖を繰り返させられ、人間からの愛情を知ることなく、一生を終えていくのです。
人間から温かい目で見られることも、優しく撫でてもらうこともありません。
美しく健康に生まれた犬以外は、悲しい未来しか待っていません。
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悪徳ブリーダーの事例: 福井市
つい最近のケースでは、2018年3月1日、福井新聞の報道で、福井県内にあるパピーミル(子犬工場)で過密飼育による虐待が行われていた疑いが判明しました。
狭いケージに入れたり、コンクリートブロックのマス内に50匹以上の過密状態で入れ、施設内には悪臭が漂っているといいます。
また、餌は1日1回しかやらず、病気やけがの動物に適切な処置を行わないなど虐待の疑いが持たれ、現在、書類送検されています。
2017年12月時点で飼育員の人数は2人。
「飼育員1人で20匹が限界」と言われる中、どう考えても少なすぎる飼育員数です。
参照: 福井新聞online「子犬工場」400匹を過密飼育 虐待疑い
ペット引き取り屋の事例: 栃木県
2014年には、栃木県宇都宮市と那珂川町で相次いで約70匹の犬の死骸が発見されました。
この事件の背後には、元ペットショップ店員が、知人のブリーダーが廃業するからと、約100万円ほどで引き取り、結局は箱の中で死なせ、その死骸を河川敷と山中に捨てたというものでした。
死なせた当事者の言い分によると、引き取った際には、愛知のブリーダーと話をつけ、譲る予定で現地に向かったものの、たどり着いたブリーダーの生育環境が悪く(パピーミル!?)、結局は譲らなかったようです。
かといって70匹の犬の行き先もなく、3つの箱に70匹の犬を押し込んだまま、愛知から栃木に戻ります。
その途中、箱を覗くと全ての犬が死んでいたとのことです。
引き取りから、死の確認までは約5時間だったそうです。
業者で火葬するには費用がかかる。ゴミ焼却所に持ち込むには事件になる。
そう恐れた容疑者は、結局、河川敷と山中に犬の死骸を捨てたのでした。
「意図的に死なせたのではなく、死んでしまったのは予想外の事件」と本人は言いますが、言い訳がましく聞こえます。
3つの狭い箱に70匹!?
すごいストレス環境ですし、酸素は薄く、水や餌だってありません。普通に考えて生命に危険を及ぼす環境ですよね。
ましては、元ペットショップ店員。普通以上に知識があって良さそうなのですが。
この元ペットショップ店員は、普段からブリーダーやペットショップから不要な犬を引き取り、自分の店で安く転売させたり、自分自身がブリーダーとして子犬を産ませ販売していたようです。
一方、繁殖を終えたり、売れ残った犬の世話は、おろそかになっていたと言います。
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成犬からでも、信頼関係を育むことはできる
劣悪な環境で育つ犬を思うと、心が痛みます。
このようにパピーミルが公に出るケースは、氷山の一角でしかなく、多くの犬達が苦しみ続けている現状があります。
そんな可哀想な犬達を増やさないためにも、まずペットビジネスに加担しない。
里親が見つからなければ処分を待つのみの犬を1匹でも救い、温かい家庭を与えてあげるためにも、一度、保護犬を引き取ることも検討してみてください。
ペット流通の闇については、動物愛護で知られている杉本彩さんの著書「それでも命を買いますか? – ペットビジネスの闇を支えるのは誰だ – (ワニブックスPLUS新書)」がおすすめです。
犬や猫のペットで知られている芸能人もいますが、ペットを可愛がる方(動物愛玩者)と、動物愛護の視点を持った方(動物愛護者)では、大きく違います。
ペットビジネスの闇を知らための内容自体が、わかりやすく説明されています。アマゾンでも、5つ星中、4星以上の高評価の本です。ペットの闇ビジネスを知る入門書として、おすすめです。
「ペットのおうち」サイトでは、全国の里親を募集している犬や猫、小動物などを検索できます。その他、保健所などが主催している譲渡会などもあるので、ぜひ検索してみてください。
私は、すでに7歳の犬を引き取りましたが、立派な家族な一員でした。
信頼関係は、成犬からでも、十分に育むことができると思います。
私がどのようにポンチョに出会い引き取ったか、保護犬の引き取り体験「里親への厳しい道乗り①初めて参加した犬の譲渡会で、泣いた話」で、少し説明しています。